医療と倫理を考える会・広島
本文へジャンプ

第59回例会


開催年月日   テーマ  話題提供者
59 平成24年2月16日 「医療における情報コミュニケーション
   −患者さんと医療者が創る良い医療−
石川 澄 先生

 

 

テ ー マ  :  医療における情報コミュニケーション
           
  - 患者さんと医療者が創る良い医療 -
 
 話題提供者 : 
石川  澄 先生 
            広島大学病院医療情報部 教授

 講演要旨 : 

1.医療は誰のためにするのか?

まず、皆さんに質問があります。
医療は誰のためにするのでしょう?
患者さんのためでしょうか?
患者さんの家族のためでしょうか?
社会のためでしょうか?
それとも広く人類のためでしょうか?
また、それは、私たち医療者のためにするのでしょうか?
これらは、みんな正しいと私は思います。私たち医療従事者のためにということに抵抗があると思います。もちろん、行った行為に対して、正当な報酬を得ることによって、私たちの生業を形成していけます。しかし、それだけではないのです。患者さんに接してさまざまな病の悩みにまつわる苦悩を聞かせていただき、それを解決する手助けをどのようにすればよいのか、私たち医療者をより繊細に、そしてより深く考えさせてくれる機会をつくってくれているからです。 

2.主役は患者である??
最近、「主役は患者である」という言葉を耳にすることがあります。その多く論調は、「医療の主役である患者」は自分自身の身体のことは、自分で決められるべきだというのです。「医師から説明された治療法を、自分自身で自律的に選択することができるべき」だというのです。それは原則的にはそうでしょう。しかし、それは本当に可能でしょうか? 医師と患者にはもともと医学知識に格差があります。 勝手に「主役」に祭り上げられたら、「損をする」のは患者のほうではないか?という意見もあります。
あなたは、この意見をどう思いますか?

3.医療のプロセスに答えは一つではない
 医療には、「絶対の真」というものがありません。答えはひとつではないのです。
医療は、患者の病気の診断と治療だけが視野ではありません。患者・人類に役立つために、あらゆる「関係性(Relativity)」を検討することではないでしょうか。関係性には、個々の身体所見の間の関係、症状と身体全体との関係、心理・社会的・行動的要因と症状の関係、患者の歴史との関係、患者-治療者との関係、そして、社会全体と個々の病気との関係を考慮すべきではないでしょうか。 
 医科学としてでなく医療学として考えてください。「死」・・・「生」の結果に過ぎない。あなたはこれをどう思いますか? などについて参会の皆様と共に考えたいと思います。





 

Copyright:医療と倫理を考える会・広島