医療と倫理を考える会・広島
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第71回例会


開催年月日   テーマ  話題提供者
71 平成26年2月20日 医の倫理と医師会 平松 恵一 先生


 「医の倫理と医師会」

広島県医師会 会長
医療法人社団 まりも会 会長
 平松 恵一


 医の倫理(医療倫理 medical ethics)には、生命倫理(bio ethics)と医療人としての職業倫理が含まれる。又、生命倫理は地球環境倫理の一種とされ、1971年ヴァン・レセター・ポッターがその著書「バイオ・エシックス 生存の科学」に使用したものである。「生命倫理」なる言葉は1977年上智大学青木清がbio ethicsを和訳したものである。

 医の倫理と「医師会」の関係としては、まず1947年に創立した世界医師会がある。その目的は医の倫理の国際的水準の向上と医療による人類への奉仕である。

 1948年には「ジュネーブ宣言」が出され医の倫理に関する規定を定めたが、最も重視したのは患者の健康を第1に考慮することであり、1964年の「ヘルシンキ宣言」は人体実験に関する倫理規範であった。1987年の「マドリッド宣言」は外部からの干渉を受けない診療としてのプロフェッショナル・オートノミーと臨床上の独立性、自己規律システムが期待された。

 日本医師会では1951年「醫師の倫理」(谷口会長)が制定されたが医師の行為の根本は仁術であった。

 1959年 第1回医師倫理委員会が開催(武見会長)。1986年 生命倫理懇談会(羽田会長)が発足。1987年 生涯教育精度(羽田会長)が開始され、医師の質的向上という国民の期待に応えんとした。

 1998年 倫理向上に関する検討委員会(坪井会長)が出来、2000年4月には6項目より成る「医の倫理綱領」が採択(坪井会長)された。2013年6月には日本医師会綱領が採択された。この2つの綱領は、日本医師会員と国民との信頼関係の構築・共有されるための車の両輪なることを期待された。

 一方、広島県医師会では1963年 医師倫理の制定(皆川会長)、1968年 初の倫理委員会(大内会長)、1995年 13回に及ぶ倫理委員会の意見を集約し「近代医療と生命倫理」(福原会長)発行、1999年「続・近代医療と生命倫理」(真田会長)、2003年に「続・続・近代医療と生命倫理」(真田会長)が発行された。

 一方、2000年4月には福原照明前広島県医師会長を代表として、「医療と倫理を考える会・広島」が設立され、医の倫理の実践を県民・市民の目線で行う点で価値ある組織と考えられ、その活動は現在も延々と続いている。

 さて、医の倫理綱領は果たして、日本医師会員に廣く浸透しているのだろうか。これは否である。私達は医の倫理綱領の6項目の1.生涯学習をStudy、2.人格の高揚をPersonality、3.説明と信頼をInformed Consent、4.互いの尊敬をRespect、5.法規範の遵守をCompliance、6.非営利をNo Profitとし、それぞれの頭文字をとってSPIRC/NP(スパーク・エヌピー)として、覚えやすいものとした。

 一方、日医が進めている医療基本法の制定は、各地でシンポジウムを開催し、会員への浸透をはかっている所であるが、その目的は医療提供者と患者との信頼関係に基づいた医療が実現することであり、今日、県民・市民の皆様にもご紹介をした次第である。

 一方、広島県医療情報ネットワークシステムは20の情報開示病院と約500の情報参照病院とで成り、県医師会が県の委託を受けて行うもので、その詳細を説明し、倫理面の問題点を議論した。




社団法人 広島県医師会 ホームページ:
http://www.hiroshima.med.or.jp/

医療法人社団 まりも会 ヒロシマ平松病院 ホームページ:
http://www.marimokai.or.jp/




 

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