「医療安全と医療倫理」

博愛クリニック 院長　　前日本医師会 常任理事
　高杉　敬久

　医療事故調査制度は法案が通り、ガイドライン作りが本格的な議論に入っている。政省令でどのようなことが書き込まれ実施に移されるかは、大きな注目を集めている。
　医療は入口と出口で刑事罰が待っているということはあまり知られていない。理由なく診療を拒んではならないという医師法19条と、医療の結果が悪ければ業務上過失致死傷罪で罪に問われる医師法21条である。
　医療の進歩は様々な先端医療を可能としたが、法と医療倫理の狭間で新たに様々な課題が提起されている。患者の権利が優先されることに異論はないが、法の制約が医療研究者と提供者に困惑と不安を与えていることも事実である。
　日本医師会で”医療安全と医療事故調査制度”に取り組んできた経験をもとに、今、医療に何が求められ、何に悩んでいるかを、皆さんと考えてみたい。

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